NINTH IN PLUTO デビュー【End of the World】 @Shinsaibashi SOMA 【ライブレポート・インタビュー】

今回我々が紹介するのは以前NINTHとして知られていたNINTH IN PLUTO(以後NIPと表記)の始動主催ライブだ。バンドの新たな音楽性を追求するにあたって、2022より新たな挑戦を始める事を決めたのだ。我々NIPPONGAKUは、光栄にも4月29日に大阪Shinsaibashi SOMAで開催された彼らの公式デビューライブを取材する事になった。
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NIPは多種多様なジャンルの音楽を経た結果、デスコアを特徴付ける攻撃的なサウンドとJロックのメロディックさを併せ持つ。彼らの楽曲からは各メンバーの音楽的バックグラウンドと洗練された文化的センスを感じ取る事が出来る。
もう一方で、それらの歌詞からは日常生活における問題やそれらに対する各個人の向き合い方と言った事も反映されている。Highlight min 1 - NINTH IN PLUTO デビュー【End of the World】 @Shinsaibashi SOMA 【ライブレポート・インタビュー】 - NIPPONGAKU

ショーは教会で聞く様な聖歌と共に始まった。英語で神に祈りを捧げている様子が聞こえる荘厳な音楽と共に。幕が開くと、最初にステージに姿を見せた來花 (Dr)に続き、斗真 (Gt)に遥祐(Gt)、そして最後に(Vo.)と言う順番で登場した。

会場は厳粛な雰囲気に包まれ、奥から差す青い照明が最前列から最後列までを包み込む内に聖歌の音がフェードアウトして行く。

同時に演奏の音量が上がると共にも二人のギタリストを指差すために両腕を上げた。オーディエンスはもう待ちきれないと言わんばかりに“End of the World”のリズムに合わせてヘドバン(ヘッドバンキング)をし始めた。 16092383118495 - NINTH IN PLUTO デビュー【End of the World】 @Shinsaibashi SOMA 【ライブレポート・インタビュー】 - NIPPONGAKU

NIPとしてはデビューライブであったにも関わらず、彼らの音楽のクオリティーは極限まで高められていた。
のシャウトによって、最前列で全員熱狂的にリズムにのり始め、それが徐々にテンポを上げて行く演奏に呼応する様に会場中に広がって行った。
CDがリリースされたのが数時間前だったのに関わらず、イベント中を通して工夫して振り付けを踊っていた。
その様子を見たは、手を挙げて我々に呼吸を整える様に促す。まだライブは始まったばかりで本当のお楽しみはこれからだからだ。

“Venom”では照明が深紅の赤色に変わり、のブラックメタルらしいシャウトと共に我々に向けて人間であることの苦しみを伝える。
様々なデスボイスのテクニックで荒々しさを見せ付けていたものの、リフレインの部分では深い歌声で落ち着きを取り戻していた。
の圧倒的なボーカルにその場に居た全員が息を呑んでいたところで、遥祐斗真が立ち位置を互いに変えつつ場を盛り上げ、現実に引き戻した。

“UNWILLING”では、NIPの新たな一面を発見する。彼らの多岐に渡る音楽性における名刺的な曲になり得るとまで感じれた。は一曲の中でファルセット、低音、クリーン、シャウトを披露した…それだけでは終わらず、ギターの遥祐がサウンドの中心になりステージ中央に立ち、Shinsaibashi SOMA中の全員が尊敬の念を込めて彼に向けて腕を開いていた。
來花のツインペダルはブレイクダウン中もずっと鳴り止まなかった。それに二人のギターが伸びのある、それと同時に重くダークな音色で華を添える。
16092383114326 - NINTH IN PLUTO デビュー【End of the World】 @Shinsaibashi SOMA 【ライブレポート・インタビュー】 - NIPPONGAKU束の間の激しさの後、メンバー全員が客席に背を向け、ホラー映画で誰かが殺される前か、モンスターに追われている場面を彷彿とさせるような”GEMINI”の演奏を始める。それからまさに数秒後にが何度も繰り返し”死にたい”と言い放った。
さらに、誰かに糸で操られているマリオネットの様に動き始めた。
彼の叫びからは不安と恐怖が感じられ、その感覚はマイクのエコーのおかげで最大まで引き上げられていた。16092383121750 - NINTH IN PLUTO デビュー【End of the World】 @Shinsaibashi SOMA 【ライブレポート・インタビュー】 - NIPPONGAKUその叫びは自分自身、社会で求められる事もろくに出来ない、他者より劣ってる”僕”に向けたものだった。突然何かに取り憑かれたように大笑いし始め、皆が不安感を抱き始めた。曲自体も悪夢を思い浮かべさせるような物だった。誰か自分を殺してこの痛みから解放してくれと懇願する。

その数秒後、しゃがみ込んで力のない掠れた声で生まれて来てごめんなさいと言う。この日はベースの不在にも関わらず、NIPの残りのメンバー全員ステージ中央から熱気を発していた。
一つ前の曲でのカタルシスを経て、メンバー達は生まれ変わったように”HOLLOW”を全力で演奏した。この新たな流れのお陰か、演奏を聴いているホール側の我々の心も軽くなったように感じられる。”GEMINI”がこのデビューライブでのピークの瞬間であった事を疑う余地はない。公演の度に必ず演奏すべきだ!16092383134441 - NINTH IN PLUTO デビュー【End of the World】 @Shinsaibashi SOMA 【ライブレポート・インタビュー】 - NIPPONGAKU

我々にもう終わりが近付いていると知らせる。
まるでオーケストラの指揮者のように、他の世界から響いている様な深い声で純粋なメタルに移行する為、”月蝕”(ベートーヴェン作曲の月光ではない)のプレリュードを伴うイントロの間、はファン達を指揮していた。
ほぼ不可能に近い事ではあるが、楽器隊の猛烈な演奏に合わせて照明が点滅していた。
リフレインの間、が一息ついている間斗真遥祐がギターソロで会場中の視線を盗んでいた。
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彼()は両膝を突き、聞く者を歌詞にもあるように冷たさを感じさせつつ照明が暗転し、会場は暗闇に包まれた。
数秒後、幾つかの青い照明が客席側を照らし、NIPは彼らマスターピースを演奏し終える為にラストスパートをかけた。

MCの間、NIPのこれまでの歩みについて詳しく話してくれ、我々の心を動かした。
斗真は以前生きる意味が見出せずにおり、人生に意味を与える物、自らの拠り所を求めていたのだと言う。
自分達は“日曜バンド”であると冗談を言う。なぜなら三週間続けて毎週日曜にメンバー(遥祐來花が一人、また一人と加入して来たからだ。
この難しいご時世の中来場してくれたファン達に向けて礼を言い、今まで創り上げてきたこの場所を守り、沢山の共有し、そして日本中、世界中の全てのライブハウスでパフォーマンスしたいと語る。

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しかし、彼らはまだ最後のプレゼントを残していた。
NIPはカオスとハーモニーの間を行き来するバンドだと見せつける為、より落ち着いた曲調の“RUIN”がまだ残っていた。

イベントが終了した今、体調不良によりデビューライブに参加出来なかったベーシストEnの早い回復を祈る他無い。

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ライブに参加出来ただけでなく、NIPメンバーとの対話をし、彼らに様々な事を質問するチャンスにまで恵まれた。

インタビューを始める前に、この度はデビューライブおめでとうございます!

NIP: ありがとうございます!

それぞれ自己紹介をお願いします。

來花: ドラムの來花です。
遥祐: ギターの遥祐です。 よろしくお願いします。本日はどうもありがとうございます。
斗真:ギターの斗真でございます。よろしくお願いします。
: ボーカルの零です。今回はベースの艶が病気で入院していますので、実はバンド全員で5人です。

(NIPPONGAKUのスタッフから、一日も早いご回復をお祈りしております)。

 まず、NIPの音楽性に影響を与えたアーティストやバンドはありますか。

: 軸としてはメタルで、メタルの中にも色々あると思うんですけど、ヘビーなもの、メタルコアだったりとか。できる限り枠にとらわれず、自分たちがその時やりたいと思うことにメタルの要素を入れています。

 バンドを立ち上げたのは誰ですか。リーダーはいますか。

零: 最初は僕と斗真が一緒にバンドやりたいなと思っていて、斗真が遥祐、遥祐がベースの艶、艶が來ちゃんを誘うと言う形で始まりました。リーダーは...俺?(笑)

作曲担当は誰ですか。どうやって作曲をされていますか。

: 主に遥祐と斗真のギタリスト二人のですね、今のところは。

 本日解禁されたデビューアルバム、「NINTH IN PLUTO」の収録曲の中で一番好きな曲はどれですか。

遥祐: 「月蝕」かなー
: 「月蝕」はMVを作った曲なんですが、それはバンドにとって特別な意味を持っていて、アルバムの中でも核になる曲だと思います。

 デビューアルバムのメイントラック、「月蝕」のイントロにベートーヴェンの「月光ソナタ」が挿入されていますが、その曲を選んだ理由はありますか。

遥祐: 僕が昔からとても好きな曲なので、この曲をデスメタル、ビジュアル系風にアレンジするのが良いアイデアだと思いました。

 海外に行ったことがありますか。 もし海外でライブする機会があれば、どこでしたいですか。

 遥祐: バルセロナに友達がいるので、スペインやフランスに行った事があります。
: 僕もアメリカのボストンに行った事があります。 もし海外をツアーで回れるなら、メタルに馴染みがあるところに行ってみたいですね。ヨーロッパならドイツとか、後はアメリカとか。

 今後ツーマンライブをする機会があれば、コラボしてみたいバンドはありますか。

遥祐: 近いところだったら、DEVILOOFとか。大阪出身という事だけでなく、DEVILOOFのメンバーも友達で。
(確かに、NIPの音楽性や激しさはDEVILOOFのものに近いですね。)
: 後は、東京だったら DIR EN GREY とか。
斗真: 後は RAZORも。

ファンの呼び名はありますか?。

: 特にバンドから提示した呼び方はないです。

 海外のファンから零さんへ向けての質問なのですが、零さんは最近「進撃の巨人」のリヴァイのコスプレの写真をインスタグラムに載せていらっしゃいましたが、どんなアニメが好きですか。

: 「進撃の巨人」はもちろん好きですし、「GTO」も好きです。後は「デスノート」、これも面白いですね。言い出したらちょっとキリがないですが、今挙げた3つは特に好きですね。
今思えば「GTO」と「デスノート」のサウンドトラックに用いられているのはV系バンドの楽曲ですね。

 確か遥祐さんは大の猫好きですよね。3匹の猫との生活はいかがですか?。

遥祐: 圧倒的にネコ派です(笑)。大変なこともありますけど、毎日かわいい猫たちに癒さ
れています。

斗真さんはギター以外の他の楽器もやっていますか。また、ギターのブランドで一番好きなのはどこですか。

斗真: ギターだけです。曲を作る時とかはドラムの動画とか見たりしてパソコンでトラックを作るんですが、基本はギターです。好きなブランドはESPです。

來花さんは最近Tiktokを始められましたね。その後如何でしょうか?

來花: ただ、自分が見てて面白そうと思ったので、やり始めたと言う感じです。(笑)

各メンバーの担当パートの欄で零さんのところだけ空白になっているのは何故でしょうか。何か特別な理由があるのでしょうか?。

: これは僕は自分で自分の事をボーカルとは思ってないし、だから僕のパートは僕のライブ、パフォーマンスを見た人が決めてくれたら良いよって意味!

もっとNIPについて知りたい事はありませんか?
是非全国で行われている彼らのライブに行って自分の目で確かめて見て下さい。
もし海外からこの記事を読んでいて、お住まいの国で彼らのライブツアーを希望するなら…是非コメント欄で我々に一報を!


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  • (翻訳:T.小澤 )
  • (カメラマン:ラミ)
  • (Assistant staff: Manuel)

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