今回我々が取材を敢行したのはホンモノのデビューワンマンライブだ。
会場に選ばれたのは、大阪ミナミの中心に位置し、毎日の様にアーティストやそのファンが集う、関西のビジュアル系シーンにおいて最も人気が高いライブハウスの一つ、心斎橋Bigtwin Diner SHOVELだ。
以前“コピバン”として知られていた彼らはパンデミックの最中、2021年の終わりにホンモノとして再始動した。
音楽性、ビジュアル系共に以前のものから一新された。
バンド名に従い、何が本物で何が偽物かをテーマに彼ら独自の世界観を形成している。
18:30、何の前触れも無くステージ奥から陰鬱な雰囲気の音楽が流れ始め、突如SHOVELの幕が開かれた(奥にもう一枚白い垂れ幕が吊られていたが)。
突然の出来事に皆が困惑するなか、バンドの掲げる理念を語る声が聞こえて来た。
白い幕の向こうには、まるで我々の目には見えない“誰か”に操られる人形の様に動いている魔訶の影が見える。
更には、小道具を活かしつつ影絵劇の一場面の様に演出されていた。
導入が終わり、二枚目の幕が落ちた途端会場は真っ赤に染め上げられた。「ニセモノ」の激しさをまじまじと感じる事が出来た。ファン達はすぐさまヘッドバンキングをし始めた。
初のワンマンであったにも関わらず、ファン全員が完璧に振りを踊っていた。
魔訶は何度も繰り返し“お前達の本物はどこだ?”と尋ねつつ、その幻想的、なおかつ不気味な外見で幽霊の様に振る舞っていた。未だに真紅の照明がShovelを満たしていた。「道化の姿」で魔訶はそのデスボイスを会場中に響き渡らせるなか、PPはファン達と一緒になる為ステージの縁に近寄っていた。
「Vanity〜亡くなった貴方の為の注意事項〜」の曲入り、世界のドラムソロを合図に照明が天井に向けられた。その瞬間、ホンモノのメンバー達は狂乱的に頭を振り始めた。 レポーターにとって驚きだったのは、オーディエンス全員がユニゾンの最後で手拍子をしつつ跳ぶ為に手を合わせてしゃがんでいたという事だ。この曲の興味深いところは、2000年台初頭のコテコテ系の要素と現代のブレイクダウンを併せ持っているところだ。
曲の最後、全員がまたしゃがみ込んだ。
曲の合間、マンドリンの音色と共に魔訶の声が響く。
続いて披露されたのは、より落ち着いたシンプルなリズムの「リバーシ」だった。先程まで息をつく間もなく暴れていた客席の我々にとってはありがたい事だ。
演目の中盤から清はその圧倒的なベーステクニックで存在感を放っていた。エスニックなメロディーが流れ始め、「自虐の花弁」の始まりを告げている様だった。しかし、突然無音になり摩訶のデスボイスをきっかけに演奏が開始された。
ホンモノのメンバー全員が一緒になってデスボイスをし、ファン達はウェーブをする為に公式グッズのセンスを取り出した。
その後、「黒の世界〜リズム遊び・音遊び〜」曲中でのアドリブ演奏で圧倒し、オーディエンスも一緒になってリズムに合わせて手拍子していた。
最初は清のベース、続いて世界のドラムが加わり、最後には二人のギタリスト(怜とPP)の大音量のソロが一緒になった。
このジャムセッションは楽しい一幕だった。終わり際、魔訶が再びステージに姿を表し、客席側に向けて力強い声を投げかけた。]
「ネオン」の軽快な音に合わせてホール中が両手を高々と掲げつつ右へ左へと踊っていた。
前の曲が終わり、徐々にボリュームが下がって行くと、時計の針の音が聞こえて来た…。
“lil’ smoky”の導入だ。古典美術の世界で度々題材にされるtempus fugit(ラテン語で光陰矢の如しの意)を彷彿とさせる様な曲だった…。オーディエンスは柔軟にそれに応えていた。
続いての曲は「S.T.N」だ。
会場の奥まで貫く青い照明の中、魔訶は存在しない何かを探している様だった…。
バンドの理念を暗示しているかの様に。
ここで、今までまだ一度も見せていなかった鋭い声で我々を驚かせた。“凄惨な今夜に荒んだ現実”で、今までで一番ハードな曲調に合わせて照明も攻撃的な赤と紫に変わった。魔訶が驚きの感情をスクリームで表現するのをPPが低音のコーラスで支えていた。
曲の合間、魔訶が先程より確信を伴った口調で“君達
の本物は見つかったか?”と我々に問いかけていた。
演奏終了後、舞台から退場する前に別れを告げた。去り際、ステージ上から清はペットボトルを、世界はドラムスティックを投げた。
アンコールの為に再び彼らが現れ、その際に怜は激しいステージングに耐えられなかったギターのストラップを交換していた。
もう疲れているか?、まだ続けられるか?と尋ねる。
魔訶が待ち切れずにステージ中央で座り込んでいる間、世界とPPが雑談していた。
とても面白い一幕だった。その間ファン達は笑い止まなかった。
その日では二回目に、ホンモノを特徴付けているメロディを堪能できる「ネオン」が再び披露され、SHOVELに再び熱気が戻って来た。ファン達はあちこちに移動しながら踊っていた。
摩訶が伴奏無しのアカペラで歌っている間、オーディエンスはまるで神を崇める様に彼に拝んでいた。
PPもまだまだ元気な様子でステージ中を動き回っていた。
一方で怜はステージの縁に立ち、皆に微笑みかけていた。ギタリスト二人は背中合わせになりつつ交互に立ち位置を変え、盛り上がりは最高潮に達した。
ライブの幕開けとなったバンドの代表曲、「ニセモノ」で幕引きになろうとしていた。
PPは他の偉大なロックスター同様に、終わり際にファン達に向けてピックを投げた。
世界と怜もすかさずに今後の東京、愛媛、新潟、石川、そして大阪でのライブ日程を告げて彼らの初のワンマンを終えていた。最後にステージから去ったのは世界だった。
ファン達がグッズを購入する為に列を作っている間、SHOVELの幕には彼らのホンモノが投影されていた。この日、我々が目撃したのは真のホンモノ(本物)である事を疑う余地は無い。今後もバンドの成長、ライブで感じられる彼らのストーリーを追い続けられる事を望んで止まない。
- (翻訳:T.小澤 )
- (カメラマン:田中)
Upcoming events:
6/3 巣鴨獅子王 清生誕ワンマン
6/6 大阪SHOVEL
6/13 池袋EDGE
6/17 名古屋HOLIDAY NEXT
7/4 巣鴨獅子王 摩訶生誕ワンマン
7/6 心斎橋SOMA
7/11 大阪ANIMA 怜、PP生誕ワンマン
7/23 心斎橋SOMA
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