【ライブレポート】Kaya (Le Zèbre de Belleville)

2025年9月18日、13年という長い年月を経て、華麗なるディーヴァ・Kayaがついにパリに帰ってきた。今回はソロ作品だけを披露するという貴重で親密なライブであり、ヨーロッパでの公演はフィンランドとパリの2公演のみ。チケットは発表から数日でソールドアウトとなった。

会場となったLe Zèbre de Bellevilleの前には、ゴシックロリータのファッションに身を包んだファンや、デコラや個性的なスタイルをまとったクィアのファンが列をなし、リュックや服にはプライドフラッグが飾られ、その光景もまた華やかだった。

開場後、VIPチケットのファンは物販やミート&グリートの列へと流れていく。そこに現れたKayaは「Chocolat」のMV衣装そのままに登場し、2階で一人ひとりと写真撮影。その後、ステージ裏へと姿を消し、オープニングアクトへとバトンを渡した。

ステージに立ったのは、フランスのDrag Race第1シーズンに出演し、Cabaret Madame Arthurのメンバーでもあるトランスジェンダー・ドラァグクイーン、La Briochée。長年Kayaのファンである彼女は、2024年に日本での共演時に「Chocolat」を歌っていたところ、Kayaが飛び入り参加し即興デュエットが実現。その出会いが二人の絆を強めた。

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「フランス一のバンズ(小麦パン)を持つ」とも称されるLa Briochéeは、圧倒的なエネルギーで会場を沸かせた。フランス語と日本語のオリジナル曲やカバーを織り交ぜ、ポリーヌ・ラフォンの「Privée d’épices」から高橋洋子の「残酷な天使のテーゼ」まで幅広いレパートリーを披露。観客も一緒に大合唱し、彼女自身も「やっと自分の居場所を見つけられた」と感極まる場面もあった。さらに高校時代、Kayaの存在が自分を救ってくれたこと、クィアとしての自分を発見する大きな支えになったことを明かした。

La Briochée’s Setlist :
1. Senaka made wa 500 miles (Cover)
2. Privée d’épices (Cover)
3. Corps transcendé (Original)
4. A Cruel Angel’s Thesis (Cover)
5. Bi Panic (Original)

そしていよいよ待ち望んだ瞬間が訪れる。La Briochéeがステージを降りると、会場の視線は一点に集中。Kayaが「Transmigration」で堂々と登場すると、歓声と共に会場は一気に揺れ、祝祭の夜が幕を開けた。

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続く「yggdrasil」と「SODOMY」では、完璧な振り付けを交えた圧巻のパフォーマンス。ディーヴァは全身で輝きを放った。

MCでは「やっとフランスに戻って来られて本当に嬉しい」と笑顔で語り、続けて「Ophelia」と「Marionetto」をショートバージョンで披露。そして「Chocolat」が始まると、MV衣装そのままのKayaに客席の熱気はさらに高まった。

その勢いのまま、「MONDAY MONDAY」と「FABULOUS」を短縮版で届け、セットの中でも特にクィアな空気を演出。そこから一転、「Malefica」で会場をダークな世界へと引き込んだ。

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通訳を交えた2度目のMCでは、ソールドアウトへの感謝を伝え、「また必ずフランスに戻ってきたい」と約束。さらにSNSでファンから寄せられたリクエストの多くが暗い曲だったことに触れ、観客のメンタルヘルスを気遣いながら「つらいときや悲しいときは、私のことを思い出して」と優しく声をかけた。

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その後は「Memento Mori」から、ファンのリクエストに応える“悲しい曲メドレー”へ。「Villain」「remains of mind」「般若」「Villain (return)」「Walküre」を強烈な表情と生々しい歌声で披露し、時に客席に近づきながら熱演を繰り広げた。

そして熱狂の頂点に達したのは、代表曲「SALOME」。ソロでもFemme Fataleでも歌われるこの曲では観客の大合唱が起こり、Kayaも嬉しそうに笑みを浮かべた。

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“悲しい曲”のセクションを「Rose Jail」で締めくくり、ラストナンバー「Glitter Arch」で明るくステージを締めると、Kayaはカーテンの向こうへ姿を消した。

しかし当然のようにアンコールが巻き起こり、Kayaは再びステージへ。La Briochéeも登場し、二人で「Chocolat」を甘く playful にデュエット。二人のケミストリーが会場全体を包み込む。抱き合って言葉を交わした後、この夜のクライマックス「愛の讃歌」が始まった。パリでのフィナーレにふさわしい選曲に、客席のあちこちで涙を拭う姿が見られた。

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最後にKayaは力強い歌声と温かな挨拶を残し、ライブは幕を閉じた。ファンたちは余韻に浸りながら写真を撮ったり、La Briochéeと交流を楽しみつつ、会場を後にした。

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そして朗報!KayaはすでにX(旧Twitter)で、2026年にソロ活動20周年を記念するヨーロッパツアーを行いたいと発表している。

次にヨーロッパでどんなステージを見せてくれるのか、今から待ちきれない。

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La Briochée Instagram
Live Reporter: Hiroki

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