「ドリーマー(夢想家)と呼びたければ呼べば良い、でも俺は独りじゃない!」
八月六日、Spotify O-West はこの夏開催されたツアーのファイナルを記念してビバラッシュ自らが飾り付けた写真やその他多くのの品々で一杯だった。大多数の写真は舞台裏や幕間での愉快な場面を捉えたもので、中には手ブレでほとんど何が写っているのかも分からないものも何枚か混ざっていた(笑)
ビバラッシュファン達(通称:ドリーマー)は開場するや否や飾り付けに気付く間も無くこぞって場所取りをし始めた。
装飾に気付いた時の反応やバンドに関する良い思い出を口々に語り合っている様子は見ていて楽しいものだった。
飾り付けだけでも既に会場はかなりの興奮を帯びていたのだが、遂に幕が開き、天井の光り輝く風船、赤色の照明、そしてそれに染め上げられる舞台奥のバンドロゴがお目見えする瞬間がやって来た。
ライブは彼らを代表するアップテンポなエレクトロ・ポップチューン、「闇カワ#アゲみゾーン」から始まり、ファン達は開幕から一緒になって手拍子をしていた。
最初に振りを踊り始めたのは幸村(Gt.)だった。二歩進む度に飛び上がり、ファン達はそれをまるでインストラクターから教わっている様に真似始めた。他のV系ライブでも良く見られる様に客席中が一緒になって踊っていたのだが、今回我々が取材したビバラッシュはその中でもキラキラ系に分類されるバンドなので普段見慣れない光景が目に飛び込んで来た。
ファン達は身に付けた発光する指輪とビーズでライブをパーティー会場の様に彩っていた。
るいまる(Vo.)は各バンドメンバーの紹介をし、このツアーファイナルを全力で楽しんで今年の夏最高の思い出を作ろうと言った。
「ギガラバチェリハート♡」の曲中、ベル(Gt.)は目の前でバンギャル達が飛び跳ねる中、歌詞にもある様にパントマイマーになりきって楽しんでいた。
パーミー(Dr.)の刻むビートに合わせて踊るのを楽しんでいたのはファンだけでなくバンドメンバー達も同じだった。盛り上がりが頂点に達した時にはるいまるまで一緒になってヘッドバンキングをしていた。
続いての曲に選ばれたのは彼らの音源の中では一番最近リリースされた「シワくちゃギャルうぇぽん」だった。
ファン達はこの時が来るのを知っていて、それに向けてしっかり準備を整えていた。と言うのもビバラッシュはファン達がライブ前に家で振り付けを練習できる様にと動画サイトにメンバー達自身が踊っている様子を投稿しているからだ。
パーミーは、すかさずあの有名な「平和」ポーズを披露した(笑)
るいまるのライブを最大限楽しむ為のアドバイスに従って、如何にタピオカミルクティーが美味いかを歌った人気曲、「タピってチマチョゴリ」のイントロ前にまるでビバラッシュからの贈り物かの様に冬也(Ba.)がベースを掻き鳴らすカリスマ的なアレンジを披露し、それはこの日最高の場面の一つとなった。この日最初のMCの間、るいまるがショーの様子を録画していたカメラを見せながら「まさかこんなに沢山のカメラがあるとは思わなかったでしょ?もしこれが全部記録用で一般公開する気が無かったらどうする!?」と冗談を飛ばす。
その直後、着けていたイヤホンモニターがどこかに引っ掛かったので焦った様子で直しつつ「ね?例えば今の所は後で必ず編集でカットしますからね」と言い、パーミーは逆にこの場面だけを切り取ってYouTubeに載せようと返して会場は笑い声に包まれた。
「ビリビリ」が始まると、ファン達は手に持って踊る為に流れる様にサイリウムに明かりを灯した。
ギタリストとベーシストは更にファン達と近くで微笑み合ったりサインを交わす為にステージの縁まで近寄った。
実に興奮と情熱に満ちた瞬間だった。Spotify O-West全体が音と共にそれらを反響させていた。
るいまるは片手にマイク、もう片手に持った目を惹く黄色のサイリウムを曲に合わせてブンブン回してステージ上の他の何よりも存在感を放っていた。
「それゆけ!バンギャルちゃん」で興奮は頂点に達した。
他の皆がバンギャルの生活について歌った曲を満喫している間、幸村は決して一音たりとも外さない程の集中を見せていた。
ビバラッシュのデビュー曲「Merry-Merry-Merry-Go!!-Round☆」のイントロの数音が聞こえる中でも興奮は冷めやらなかった。
曲の出だしから温もりの様な感覚が会場を包んでいた。この曲のリリースからバンドの歩みが始まったので、その場にいた全員が当時の思い出を振り返っていたのだろうか。
るいまるは手でハートを作って客席に向けて投げかけていた。
これはまるで最近からビバラッシュファミリーに加わったファン達への「ようこそ」の証の様に感じられた。
二度目のMCで我々の予想は的中していたと裏付けされた。
(おそらく新規のファン達へ向けて)るいまるはビバラッシュのライブではどんな音楽の楽しみ方も正解だと言った。
ヘッドバンキングをしたり、振り付けを踊ったり、飛び跳ねたり…もしくはどんな些細な事も見逃さない様に静かに見入ったり。
それから、壁に飾られた写真を指差しながらどれがどう言った場面で撮影されたものなのか等を教えてくれた。話を締め括るにあたって、どの写真もチェキなのでこの世に一枚ずつしか存在しないのだと言った。そう、我々が生きるこの刹那の様に。
バンドで一番有名なポップバラード、「love」での幸村の最初のコードが聞こえた時、会場は先程にも増して優しい雰囲気に包まれた。
オレンジ色を帯びた照明が更にその光景をドラマチックなものにしていた。るいまるは最前列のファン達一人一人の目を真っ直ぐ見て歌詞の甘い言葉で語りかけていた。
続いて、Spotify O-West中央に設置されたミラーボールが回転を始め、後に続く「Century Mermaid」の世界観に引き込まれて行く。
ビバラッシュのバラードはいわゆる「悲しい」や「泣ける」ものに分類されるタイプでは無いのだが、るいまるの歌声とバンドの演奏には言葉では表せないスケールの大きさ、荘厳さがあった。
だが確かにその瞬間の空気からは何とも言えない切なさが感じられた。
冒頭から踊り続けていたドリーマー達はスローテンポな曲が何曲か続いたお陰で一息つく事が出来た。
るいまるが言った通り、振りは必須では無く視線だけでもバンドと繋がる事が出来るのだ。
だがしかし、ビバラッシュは自らを「アゲみグループ」と呼んでいる事からも分かる様にこれ以上は休む間を与えてくれなかった…
激しいギターのリフが渋谷に鳴り響き、「FANTASTIC FLY HIGH」の始まりを告げた。
皆の注目を集める為か、明るかったるいまるの表情が徐々に引き締まって行った。
今回のライブ中だけでもビバラッシュの様々な一面を垣間見る事が出来た。キラキラ系らしいエネルギッシュさ、愉快な音楽、踊り、トーク…彼らにしか無い物。
ここでもう一度小休止を挟み、ツアー中の楽しかった思い出について語ってくれた。究極に空腹で訪れたファミリーレストランで45分も待った挙句6分で全て平らげてしまった事…もしくは、日本全国を回っている中でパーミーが一体何キロメートル運転しなければならなかったかなど。
ファン達は代表曲「踊らされた人生」が始まると一気に沸き立った。
耳にこびり付くメロディーとビバラッシュメンバーらが考案した振り付けがTikTokで話題を呼び五百万回再生を達成したのだ!
その日彼らから貰った元気を少しでも返そうとするかの様に、それまで披露されたどの曲よりもファン達が率先してパフォーマンスに参加していた。るいまるは再び前向きなメッセージを我々に送った。ツアーの有終の美を飾る為にわざわざ東京まで足を運んでくれた事を全てのファンに、会場のスタッフにもその為の場を与えてくれた事への感謝を何度も伝えた。
そして、愛とは何かを尋ねた。きっと全員がそれぞれ違う答えを持っているだろうと知りながらも。
その流れでビバラッシュとドリーマーズ達の間の絆について言及した。
「今隣にいる他のファンの名前や出身などは知らないかもしれないけれど、それとは関係無く皆が形はどうであれお互いの幸福を願っているから!」
それからるいまるは次の曲が最後である事を告げ、ファン達はそれに応える様に飛び跳ね始めた。
ビバラッシュの最大の目的は音楽や対面のショーを通じて皆を幸せにして誰かから愛されていると感じて貰う事だ。
この日最後に演奏された曲はまさに彼らの信念を象徴している様だった。
バンドからドリーマー達に向けて発せられたパフォーマンスがあまりにも衝撃的だったので会場スタッフや我々取材陣までもがマスクの下の微笑みを抑えられなかった。
バンドが退場するとファン達は座席に腰掛け一斉に手拍子を始めた。NIPPONGAKU 読者の皆さんはもう既にご存じだとは思うが、これがコロナ禍においてアンコールをアピールする方法なのだ。
遂にその時が訪れた。突如暗転したかと思うとビバラッシュ冬ツアーの詳細とビジュアルが投影された。ファン達は心の中で叫んでいたに違いない。告知が終わるとバンドが再登場したのは良いのだが…予想だにしていなかった事なのだが、ツアーの副題「顔面ストッキング!!」の通り、実際に頭部にストッキングを被って来たのだ!
るいまるが「ウチらは明日から本気出す」を歌い上げている間、ファン達は腹が千切れる程笑っていた。
一人ずつストッキングを「脱いで」行く様子からこのショーは最後まで楽しいものになると確信した。
るいまるは最初からは見る影も無くなってしまったのでバックステージに髪のセットと化粧直しをしに走った(笑)
彼を待っている間、冬也が伝えたい事があると言った。
新型コロナウィルス感染の為二つのイベントに参加出来なかった事を謝罪し、隔離期間中も支え続けてくれた全てのファン達への感謝の気持ちを感極まった様子で伝えた。
心機一転戻って来たるいまるからもう一度ポジティブなスピーチがあった。
「ツアーを続けて行く中で色んな人と知り合って様々な事を吸収しているお陰で常に前進している気がする。これは人間として生まれて来た者としてこれ以上無い程ありがたい事。全てのセットリストや会場、今年リリースした曲がどれだったかも思い出せないけれど、一緒にステージに立ったアーティストの方々の事は忘れない。どうか今日という日が僕の中に記憶されるのと同じ様に皆の心にも残って欲しい。」
ビバラッシュ SUMMER ONEMAN TOUR FINAL
2022.08.06 Spotify O-WEST
【顔面ストッキング!!】 pic.twitter.com/aP3v3hBoEg— ビバラッシュOFFICIAL@多数欠OP!! (@vivar_official) August 6, 2022
もっとビバラッシュについて知りたいですか?
来週彼等とのインタビューを予定しています。
コメント欄で彼等への質問を受け付けているので、是非!